「ねぇ、赤也はどう?」
「は?何がッスか。」
「情熱的なのと誘惑たっぷりなの」
「は!?」
「ずーっと迷ってて…」


先輩が俺に尋ねているって事は、俺がそうされる立場じゃ無いんだろう。
…うわっ自分で考えててへこむ…

じゃあまさか男!?
てかずーっとって…


「片方からはすごい情熱を感じるんだけど、あんな風に誘惑されると…あたし…」


何があったんだよ!?訳判んねえし!


意味を違えながら二人して頭を抱えていると、

「断然情熱、やろ?」
「お前誘惑されたいって言ってたじゃん。」


って後ろから声。

まさかこの二人!?
仁王先輩が情熱…って感じはしないけど。
実はすんげぇ情熱家で、燃えたぎってんのか?
丸井先輩の誘惑も…な…何か強そうだ…


「うーん…やっぱ仁王の方が良いかな…」
「やろ?」
「ばかばか、俺の方だろィ!」
「ブンちゃん…」


何か空気が妖しいんだけど!!
三人って、こういうカンケーだったのか!?



だからたまらなくなって叫んでしまった。


「先輩!!その二人なんかやめて俺にして下さい!!」












「「「は?」」」

三人が同時に俺の方を見た。


「今、何て?」
「えっ…だって先輩…二人から告られてるんじゃ…!」

何か外した…?

それを聞いた途端、丸井先輩は腹を抱え、仁王先輩は指さしながら笑い始めた。


「あははは!」
「赤也…アホじゃ…!」

「は…?」

俺はかなり力んで言ってたから、とっさの事に頭が働かない。


「あ…かや。あのね…」

異様な雰囲気の中、先輩が気まずそうに耳打ちした言葉は

「ドーナツ…?」

「新商品じゃ。赤也知らんのか?」

丸井先輩がちらしを出す。

「誘惑は甘ーいヤツで、」
「情熱は辛いって話。」
「うん…ごめん…」


嫌な空気が流れる。
そう感じるのも、嫌な汗をかいてるのもきっと俺だけだけど。


「ちょっまっ俺すっげぇ勘違いヤローじゃないですか!!」
「おぅ、その通りだぜ勘違いヤロー」
「本当にお前さんKYやの。」

二人はニヤニヤしながら事の成り行きを楽しんでいる。
ヤなヤツらだ…!

勘違いで告白しちゃったし。
先輩は無反応だし。
あぁもう最低。



「赤也…今日、二人で半分こしに行こう?」

不意に先輩が、俺の方を見て何気なく言った。

「え?」
「それって…?」

ヤロー共は言葉を無くして唖然と先輩を見た。

「私欲張りだから。どっちも欲しいの。…頑張ってね。」

そんな俺らを尻目に、先輩は魅惑の笑みで笑った。



情熱誘惑





070805 仁王がKYって言うとちょっと可愛いかな、とか。 この場合空気読めないとかじゃないと思いますけど。 ミスドネタです。チュロとかいうやつ。 私は黄色い誘惑の方を仁王と食べに行きたいです。(夢見てろ ブンちゃんとなら情熱。 誰かと食べに行ったら、同じモン頼まない派なのですが皆様どうですか。