「赤也ってさ、“わがまま”だよね。」 「は?」 いきなり何だってんだろう、そりゃ間違いじゃないけど。 休憩中先輩にぶつけられた言葉の意味を理解出来なくて、思いっきり狼狽える。 だってこれ、いつもみたいなからかいの態度じゃ、ないし。 俺はよほど変な顔をしてたんだろうか、先輩は「あ、違う違う!」と首を横に振った。 「カタカナのワガママじゃなくて、漢字で書く方ね!」 そう言って先輩は、棒っきれで地面に字を書いた。 「自分のまんまって意味なんだよ、そもそも。自然体ってのかな。 本で読んだんだけど、今の人が使ってるワガママってね、派生した意味らしいんだ。 えっと、確か…エゴイズムの意味が強いんだって。」 必死な解説ときれーな笑顔を向けられて、ようやく自分が誉められているんだと気付いた。 うわ、ちょっと待って、嬉しいんだけど。 「へへへ…」 少し照れくさいな、くすぐったい。 やっべぇ、すげーにやける。どーしよ。 「我が儘でいられる人になりたいな。 赤也みたいに、なりたい。」 不意にぽつりと呟いた声に視線を戻すと、寂しそうに空を見上げている。 何だかそれが今にも泣いてしいそうなのを堪えてるみたいに見えた。 俺はあんまり気が利く方じゃないから、どうしてそんな顔するのか、判らなくて。 でも、俺みたいに? じゃあ先輩は我が儘じゃないって事? ―それが、苦しいんですか? だったらと、つい思った通りに叫んでしまった。 「だったら俺の隣に居れば、うつるかもしれないッスよ!!」 ああ何言ってんだ俺は。めちゃくちゃじゃんか。 そんなことあるかも判んないのに。 先輩は、俺を見て一瞬ポカンとして、それから顔を少し赤く染めて、そんでクスクス笑った。笑って、言った。 「ほんとだ。移りそう。」 その笑顔はやっぱりきれいで、すごく自然で。 「なんだ、先輩だって我が儘出来んじゃん。」 それじゃああとは俺と一緒に、もっと我が儘になって行きましょ? 我が儘な君に 貴女がそんな風に笑えるなら、いつまででも傍にいさせて下さい。
071110 戻 ブンちゃんの方が我が儘っぽいな…!(あれ でも必死さが欲しかったんで赤也。 てかフィーリングで赤也になっちゃってたんです。 確か昔塾の授業で習ったネタなんですが…うん…間違ってたらすみません。