フライングバースデイ
なんてこったい、明日は大好きな武君の14回目の誕生日なのです。
別にそれ自体は問題無い。(むしろ最大級におめでとう!)
難点は彼が人気だってこと。
出来ることなら一番に祝いたい。
一番に見て欲しい。
難しいなんて判ってるけど、一番に読んでくれて、山本の一番にしてくれたら…
私幸せ死にするんじゃないかしら?
そんな乙女思考(非現実的妄想とも言う)を巡らせていればあと3分で24日という時間。
落ち着かないので、もう一度メールの文章を見直そうと思い立った。
誕生日おめでとう!
(月並みすぎ?)
今年も野球頑張ってね♪
(だって私は好きなことをしてる時の山本が大好き!)
輝く山本を応援してます☆
(ホントは応援じゃなくて支えたいなぁ)
…なんかあっさりしすぎ?こんなんじゃ沢山くるメールに埋もれそうだ…
でもこれ以上はくどいよね!
あんまり長くしすぎるのも良くない…ハズ。(だって私たちはただのお友達。)(うわぁ寂しッ!)
もういっその事“好きです”…なぁんて書けないし!何言っちゃってんの私!
急いで削除。
よしコレで大丈夫問題ナッシング行っちゃえ送信!
届け私の想い!
なんて叫んでみちゃう。(アイタタタ…)
ってアレ?
何かやらかしてないかなワタクシ。
ケータイのスミの時計は
23:59
を表示して、画面には
送信しました
の文字。
あ た し バ カ !
テンパりすぎて時計を気にしないなんてホントにあるんですね!
泣いちゃいますよ。てか泣くしか無いですよ?
やばい、こうしちゃ居られない。
フォローを…入れねばならぬ〜!って歌ってる場合かァッ!!
テンパりながら携帯を手に取った瞬間鳴り響いたのは
『もしもし?』
山本専用の着メロ。(ちなみに甲子園のテーマ)
アレ何で?どうしちゃったの?
0時ちょうどになったって事は彼はもう14歳。
沢山のメールが送られているであろう彼の携帯は、今私にだけ思いが向けられている事になる。(大げさとか言われてもいい!)
『、メール早ぇよ。』
笑いを含んだ山本の声。
「ごめんっ!焦ったってか…」
『でもが一番に祝ってくれて嬉しかった。サンキューな。』
「え、や、うん!おめでとう!」
不意打ちだ。頭が回らない。
今山本すごい事言わなかった?
『おぅ!だからつい電話しちまったんだ。ワリィな。』
「全然悪くないです!むしろ最高に美味しい…」思わず口に出しそうに…いや、出してるわ。
『明日…じゃねぇや、今日か。プレゼント待ってるからよろしくな♪』
はずむように笑う山本。(プレゼントが無い訳無いでしょ!)
「任せて!」
嬉しさにこちらも声が明るくなる。
『はは、すげー気合い。
んじゃ、オヤスミ。』
「うん、おやすみ…」
名残惜しいけど引きずる訳にはいかないから、電話を切ろうとした直前、最後の最後で彼は爆弾を落とした。
『あ、俺の事好きだから、返事も今日くれな?』
「えっ」
『じゃっ』
そしてブツッと切れる電話。
どうやら今日寝る前に用意するものは、鞄にプレゼントに、加えて勇気もみたいだ。
070429
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