「山本君、すごいね。」

つい声をかけてしまった。
この行動は私にしてはかなり暴挙に出たと言える。
だって彼とは1年の時に一緒のクラスでたまに話すだけの仲で、
クラスが分かれてからは挨拶すらまともにしなくなってたんだから。


「ん、あ。!
 俺今日誕生日なんだ!」
「知ってるよ」

何ヶ月も前から―
その言葉は飲み込んで笑う。


「見れば判るって」
「なー、祝って。」

こちらもニカっと白い歯を見せながら、ねだってくる。


「おめでとう。
 …欲張りだなぁ、そんなに祝ってもらってるのに。」
「そーでもねぇって。」


ハハ、と笑うと急に真面目な顔をする。
ドキリと心臓が疼いた。


「な、ソレ、もらってもいーか?」
「え゛!?」


突拍子も無い質問に、動揺を隠すことが出来ない。
伺うように尋ねられたソレ。
鞄の中から少しはみ出ているラッピングが目に入ってしまったのか。
でもカードなんか書いてないし、まさか私が山本君が好きだってバレてる?




そんな混乱した私の唇に、触れたのは。


「…わりぃ。


 、付き合ってくんね?」


言葉にするまでも無い訳で。



鞄の中のプレゼントは、どうやら私の物にはならないようです。






プレゼントの行方




070429