「なぁ、今日は…帰したくないんだ」



だからってコレはアリですか?


外は豪雨。



せっかく彼氏の山本武君(重度の電波)の誕生日を祝おうとお宅訪問してケーキとプレゼントあげて
ちょっとラブラブしてたのに。
コイツの冒頭の一言のせいでかは知らないけど、突然の豪雨に見回れた。

「帰したくない…つーか帰せなくなっちまったな。」
「車で送るにも、ちっと危ねーしなぁ。」

二人してハハっと笑う。
この親子は…

「また電波デスカ?」
「雨が祝ってくれてんじゃねーの?なっ!」
ゴロゴロピシャーン

返事すんな雷!!
てか天候操るなっつの!!

「何、雷怖い?」

こちらを見ながら首を傾げる武を見ていると、何だか全てがどうでもよくなってきた。

「ちがう…もういい。家に電話すドコォォン

「…え?」
「停電?」

急に消えた電気。
辺りは雷の光を残し暗い灰色に包まれ、少し離れた位置に座る武の顔さえよく見えなくなる。

そして次の瞬間には、繋がりにくくなる携帯電話。
みんなこれみよがしに電話やらメールやらしやがって!
回線混雑。
どうすんの、コレ。

―どうしようもないのはちゃんと判っているけど。
私は諦めて携帯を放り投げると、伸びをした。

「武の誕生日、散々ね。」
「いや?そーでもねぇって。」

ニコニコしてる気がする。やっぱりあんまり見えないけど。

「…また、アタシが居るからとか、ベタな事言う気?」

退屈さを持て余して、からかい半分に聞いてみたら

「おぅ。」

めっちゃいい返事されました。

だめだ死ぬ…コイツに殺される…
心臓壊される…
今のはときめきストライクだ…!



「さみーなー。どうする?」

そんな私の心理を知りはしないだろう。
武は普通に話題を変えてきた。
確かに少し肌寒い気もする。

「どうしようね。抱きしめてあげよっか。」

だから少し意地悪。
やられっぱなしは美味しくないのよ。

「…えっ!?」

珍しく、動揺した声。
私が今日突然来た時も驚かなかったくせに。
まぁいいや。してやったりだ。


耳元にすっと腕が伸びてくる。

俺の心臓止める気か?

そう言って抱きしめられた後、晴れるまで私達がどうしてたかは…









正直あったかすぎて寝ました。





「お前、これは酷くねぇ?」
「だって武の腕気持ちよかったんだもん」
「まじか。」

070522