球技大会の女子競技は、血を血で洗うような戦いっぷりが見られる。
特にドッジボールなんかは際立って判るもんだ。


―もっとも、それはギャラリーに男子が居ないことが絶対条件だが。
ひとたび男子が来れば、魔球は鞠遊びに、罵声を浴びせていた口からは弱々しい悲鳴が漏れるのだ。
それに騙される奴らもどうかと思うが、俺様には関係ねぇ。



視線の先に居るのはただ一人のオンナ。








「きゃー、ちゃんかっこいい!」


好戦的な笑みを浮かべながら、リーダー格のヤツと互角に戦う。
身体能力から言えば劣るかもしれないアイツだが、試合に挑む瞳は揺るがない。


普段はどっちかと言えば大人しいタイプなのにな。
頭を撫でればころころと笑い、抱きしめれば顔を赤一色に染める―そんな姿を思い出して今のアイツと照らし合わせるがまるで重ならなず、
口端に笑みが漏れた。









「3-Cの勝ちです!」


高らかに叫ばれるのはアイツのクラス。
ひそかなガッツポーズがあまりにも“らしい”。


「ありがとうございましたー!」


と叫びコートを後にするお前。

俺に気付いたら、どんな顔をするんだろうな?

きっと己の戦いを恥じたりはしないだろう。
照れくさそうに、


「勝った!」


と言いながら笑ってブイサインを作る…そんな気がした。







「。」


ならば俺はそれに応え、抱きしめて頭を撫でて、勝利の口付けを贈ろう。





なぁ、それは最高のお前への最高の褒美だろう?








本気の君、故に。






081017










いきなり俺様!亭主関白ですよ!(違