全てはの一言から始まった。
再戦。
「…何、また青学とやる訳?」
呆れたのか何なのか知らないが、こいつは言った。
「またっていうんじゃねぇよ。」
「へーへー」
どうやら聞く気もないらしい。
「ったく…こっちは志気が上がってきてるってのに。」
「はいはい嘘うそ。悪かったよ、ごめん。」
そっぽ向いて棒読みされる。
「心にも無い言葉を…」
「だってあたしが何を言おうと景は関係ないでしょ?」
無い訳ないだろバカかコイツ。
「はん・まぁな。」
気付かれないように少し睨んで、心の中で毒づく。
「なら良くない?」
良くねぇと答えてしまおうかという衝動をグッと抑えて、動じないように―
だがそのせいで非常に短い返事をした。
「まぁな。」
「ぁー…どっち応援すればいいんだろ。
青学にはチビッコと周がいるしなぁ。」
気付いてないと言うより。気にかけていないだけかもしれないと思わせるようなぼやき。
普通言わないだろ、仮にも自分の男の前では。
っていうか、秤にかけるな。
幼馴染の越前リョーマと、何故か妙に仲が良い不二周助と、
世間で彼氏と呼ばれるものの俺を。
「…テメェに応援なんざされなくても俺様達の勝ちに決まってるぜ。」
腹が立ったのも相乗して、わざと刺々しい言い方をする。
割と本気も混ざってるが。
「当然。例えたしが自校の青学を応援しようと景は負けないよね。」
―お前はそういう女だよな。
「…まぁな」
コイツに期待する方が間違いだった。
ふぃと顔を背けると、
「でも負けた時あたしにあたられるのは御免だから応援してあげる。」
さっきまでとは全く違う態度で、
明るい声で、
満面の笑顔で、
コイツは言った。
…このアマ。
「一々言うことが嫌味だな、テメーは。」
手に額を預け、思わずはァと溜息をつくと、嬉しそうに腹黒く笑った。
「きっと景吾君なら拗ねるだろうと面白半分期待を込めて」
つまり芝居とあっさり言いやがった。
「な…テメェ…」
「いやぁ可愛いなぁ景ちゃんは。」
俺が声を荒げてもどこ吹く風とからかい続ける加奈に、
「―青学に買ったら覚悟しとけ。
俺様を手玉に取ろうとした事、後悔させてやる。」
宣戦布告。
「やってみやがれ。」
コイツもまだまだ負けじと言い返すもんだから、
「とりあえず前祝いだな。」
頬に手をあてた。
「景っ…!!」
これには流石に動揺し始めたが、俺を散々からかった仕返しも兼ねているので、有無を言わさず唇を重ねた。
「景っ何す…」
赤面する顔を見てザマァミロと思って
「俺様が負ける訳が無い。
だったら別に構わないだろ。」
と強気に告げる。
「負けたらどうするつもりだお前。」
上目遣いに睨んで、精一杯の反抗をしてくる…が無駄な事だ。
「アーン?、お前誰に物言ってんだよ。」
氷帝学園部長・跡部景吾。
勝利以外は認められない学園での王者。
というかそもそもお前は俺のモンだ。
そんな思いも交えつつ。
「やっぱリョーマの応援し…」
まだそんな戯言言うのかよ?
「お前の心は俺だけだろ?」
さっきと同じ様に顔を近付けて薄く笑うと、
最早諦めた様子で
「自意識過剰…」
と俯きながら呟いて、
「まぁ頑張れ?
ここまでしといて負けなんてかましたらぶっ飛ばすよ。」
今度は目をまっすぐ俺に向けて言った。
「絶対にありえねぇがそん時ゃ責任とってやるよ。」
額に軽くキスを落として、再び思い切り驚いた顔のを見て笑った。
「だからテメェは俺だけ見てればいい。」
「…了解。」
まぁそうは言ってるが、想いは決してお前の一方通行じゃないぜ?
俺はお前を愛している。
変わらず朽ちることなく。
―お前がお前である限り。
2005/11/19(11/23掲載)
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日付が可笑しいと思った方、正解です。ていうか1年前??そんなに!?
これいつのかな…ほんとはもっと前です。きっと。
なんか文章が今とは違う感じがするなぁ。
読んでて思ったけど、描写辺りがかなり。
笑い流して下さい。
結局氷負けてしまいましたが普通に楽しいかったです。
しかし1年前か??再戦。
アニメかもしれないです…!!