「雲雀」


ディーノの所為だ。
私が雲雀って呼ぶのは。


呼びたい。



、今、何て言った。」
一瞬で険しい顔になる。
「何にも。」
だからってたじろいだりしない。
「それより雲雀、今日…」
いつも通りを装う。

それに対して言葉は無かった。けど―




「仕方無いじゃんか。ばか馬。
きょーやのばーか…」

先ほどの無言の殺気に危険を感じ、超特急で逃げてきて一人呟く。

ていうか私何言ってんだろ。

恭弥はちっとも悪く無いのに。
呼びたい名前は雲雀じゃないのに。

「きょーや…」






「何だ、呼べるじゃない。」

突然後ろから声がした。
驚きまくった。だって早すぎ。
「!?きょっ…雲雀…いつから…」

「恭弥って」
恭弥は私の反応を余所に続けた。
「体に染み付いてるでしょ?昔と逆だね。
 前は名前呼べなかったのに、今は無理矢理止めようとしてる」
意地悪に、愉しそうに恭弥は笑う。


「あんな奴の事、気にしてたの?あんなどうでもいい奴の事?」
嘲笑混じりに、言う。




―あんな奴なんて言うけど。


「うそだ。雲雀気に入ってるよ。楽しそうだった。



 ―楽しい時の、顔してた。」


あんな顔、早々見れたもんじゃない。


「ふーん。妬いてるの?」
私の反論に意外な言葉が降る。
「やっ、違っ!」
つい、どもってしまった私を見て、やっぱりかと吐き捨てた。

「―下らない。下らないよ。
 ヤローに妬く?普通」

「…だって」



恭弥って呼んでるのは私だけだった。
少なくともそれだけは私の特別だった。

アイツと2人だけのモノなんて、厭。

なら、みんなと一緒の方がマシ。



でも

「僕が呼ばれて厭じゃないのはだけなのに」

恭弥は、言った。


「あんな奴の事、考えなくていい。
 その声で、の声で“恭弥”って呼んで。
 甘ったるくて、鬱陶しい声で呼んで。」

恭弥は私に名前を求めた。


「それが厭なら、…きょーや位なら許してあげるよ。どう、少しは違うでしょ? 」




そんなの、反則。





言いたくて言えなかった、呼びたかった、名前。

「…きょーや…」

恐る恐る口にした。少し声が震えた。


「ほら、出来た。」
恭弥は頭をぱすぱすと叩いた。





欲しかった特別は、ソコにあった。
貴方の名前ですらもう私の特別で、それを貴方も望んでた。
ディーノも誰も関係ない。
それは2人だけのモノ。


もう雲雀と呼ぶ日は来ない。






だからきょーや?
ディーノの所為だから、怒らないでね?
「え、ダメだよ。」
「うっそだぁ!?」
「やだ」



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初雲雀さんですワォ。
ディーノさんが恭弥って呼んだのがあまりに衝撃で出来た話。

未熟でごめんなさい。精進します。




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