忍足謙也くん 件 コンビニ ――――――――――― 謙也くん、コンビニ行っ たらおでん売ってた! 今年もちゃんと牛すじ入 ってたよ(^▽^) 夕闇に浮かぶ白い息。 でも震えてるのは寒さのせいだけじゃない。 「返事なんて、くるのかな。」 パタン、音をたてて携帯を閉じる。 謙也くんとアドレス交換してから3ヶ月。 私から連絡を取ったことがなかったのは、話題が見つけられなかったから。 趣味も生い立ちも違いすぎて、共通項なんて指折るほども見つからずに、ずっと、メールする口実を探してた。 好きな食べ物のことを知ったのは、本当に偶然で。 更に、部活帰りに友達とコンビニに立ち寄ったら、“おでんはじめました”の文字が踊っていて。 偶然が2回続いたからやろうと思えて、一人になった帰り道、何度も書き直してメールを送った。 携帯のサブディスプレイで時計を見る。 まだ、1分しか経ってない。 そんなすぐに返せっこないと分かっていても、送らなければ良かったかなと不安になり始めた。 だんだん後悔の色が深くなってきた3分後。 届いたメールは―― 勇敢な一歩 忍足謙也くん 件 Re:コンビニ ――――――――――― ホンマか!?教えてくれ ておおきに! で、がよければ、な んやけど… 明日、一緒におでん買い に行かん? 091024 ←