「何か今日、やたら物もらうんだけど。」 放課後、部室にやってきたサエの手にはいつもの数倍はあるであろう大量の荷物。 色とりどりのキレイなそれらは、私にある事を思い起こさせるには十分だった。 「あー…ロミオの日だからじゃない?」 「なにそれ。」 怪訝な顔して、サエは私を見る。 私は記憶を再生しながら彼に先日の出来事を話した。 「一昨日くらいかなぁ、手帳見ながら友達と話してて。」 『6月30日ってさー、サエの日だね。ロミオだし。』 ふと思いついた事をポロッと口にした。 サエのロミオはとてつもなく人気で、ロミオと言ったら佐伯!みたいな連想が乙女たちの中では常識なくらいだった。 そして、それを聞いた佐伯ファンの女の子達が目を光らせた訳で。 『口実にプレゼントあげちゃえ!』 私はサエに言うなと口止めされ(だって嫌がって休む可能性もある)、 ああ、うん。 と生返事をし、対価にお菓子をいただいた。 それ以来彼女らは息巻いて今日という日を待っていたのだ。 「…みたいな?で、今日に至る?」 「ねぇ、怒っていい?」 「やなこった。」 にこやかに、しかし青筋を額に浮かべるサエに対して、んべっと舌を出す。 お菓子美味しかったからさ、ウン。 まぁもう終わった事だから種明かしはセーフだろう。 じゃあ、 何か思いついたらしい、荷物を置くとサエは私の顎を持ち上げた。 「責任取って今日は俺のそばに居てよ。」 サエの指を絡めとってぎゅっと握る。 「ワガママね、ロミオ様。」 「何とでも。」 二人してクスリと笑う。 そもそもどうしてロミオの日、なんて思いついたんだと思ってるの? 本当は私がそれを一番の口実にしたかったからだよ。 そう言ったら、貴方は何て返してくれるかしら? ロミオの日 070630 戻 偶然思いついたネタ。 一応サイトでは初サエ…じゃないや。拍手に居るね。 六角勢も更新したいものです。