昨日テレビを見ていたら、思い付いてしまった。









それは、禁断の










「なーなー」
「ん?」
「何や?」
「蔵の応援考えた!」


朝一番、練習前のコートでアップしているレギュラー陣に声をかける。
ちーくん以外は皆居るようだ。彼は確実に寝坊だろう。

都合良く蔵が席を外したタイミングでこう言うと、みんな揃って嫌そうな顔をする。


「今部長居らへんけど。先輩どないしたん?」
「目ぇでも悪なったんか。」

と茶々入れしたのは財前と謙也。

「ノロケならいらへんで〜!な、小春」
「ね〜」

むしろお前らが自重しろ、な一氏と小春。

「ノロケな訳あるかい!!」

思いっきりツッコミ入れると、ニヤリ、笑みが零れる。

「えー!何なんー教えて欲しいわー!」

そして可愛い可愛い金ちゃんが私の袖をグイグイ引っ張るモンだから、更にしまりの無い顔になる。
仕方ない、だって金ちゃん可愛いもん。
頭を撫でると嬉しそうで私も嬉し…


「浮気か?言いつけるで?」
「早よしてぇな、気になるやん。」


ぺちんと可愛い音ではたかれると、モノローグも吹っ飛ぶ。
せっかくの癒しタイムが…とは思ったけど、ネタ披露のためと気を取り直してみんなに向き直る。


「今さ、おっぱっぴーって流行ってるやん?」
「あぁ、体張っとるよな。」
「あれの蔵バージョン。」


みんなが、え、と目を見開いたのがハッキリ判った。
やっぱ掴みは大事。
正直こんなん恥ずかしくて仕方ないけど、“笑い”という学校のモットーに乗っ取ってネタを始める。


「ポイント取られて後が無い…下手こいたー!!」

なるべく蔵に似せようとしたけど「似てへんでー!」という野次が飛んできたから諦めた。


「追い詰められちゃって
 かなりピンチだぜ
 でも俺はバイブルや
 でも俺はバイブルや
 でも俺はバイブルや
 んんーエクスタシー!」


最後は勿論決めポーズ。

どっと、いつの間にか増えていた部員からも笑いが起こる。
あ、やべ、これ快感。
拍手喝采、気持ち良ーわ。


「で、応援側は俺の部分をヤツかアイツにすんの!」
「あははそれええわ!」
「ちょっアカンて笑てまうがな!」
「に負けてられへん!」
「ユウ君気張るでぇ!!」


各々感想を述べる。珍しく好評だ。
これで前回の「布団が吹っ飛んだ」の汚名は返上やろ!


「なぁ白石がそれやんのー?」
「せやなぁ、コートでやらんといかんよなぁ。」

金ちゃんはしこたま笑った後、ふと気付いたようで首を傾げた。
可愛い可愛い可愛いで頭がいっぱいになって答えられない私の代わりに、謙也が笑いを噛み殺しながら―でも楽しそうに―言うと、「ふぅん」と呟きながらどこかへ行ってしまった。


この時金ちゃんを止めなかったことが後々響いてくるとは、誰一人考えなかったのだった。



「蔵が…海パンいっちょでよしおとか、どんだけファン減らす気だよ!」
「先輩が考えたんやんか。」
「せやけどよう考えついたなぁ、10コケシやわ!」
「勝手にコケシ使うたら怒られるで、オサムちゃんに。」
「オサムちゃんかてそう言うに決まっとるやん!」

うちらは不似合いな蔵の格好を想像し、笑い、好き放題言いまくった。







迫りくる影にも気付かずに。


「…」
「蔵…!?」
「毒手やー!!」


猛スピードでこちらに向かってきた金ちゃんが、私の腰に巻き付いて後ろに隠れる。


「自分ら何やおもろい話してるらしいやん?
 俺にも聞かせてや、その話。」


ニコリと明らかな作り笑いで、周りの空気が刺さる。
ビクビクとしている1年生の彼を見れば、何があったかなんて一目瞭然。


「金ちゃ…」
「「「「(先輩)が犯人や」」」」
「ちょっま!」


笑ったんだからアンタらもだろうよと目を向けると、みんなして視線をそらしやがった。

「そんなん知っとるわ。せやけど、お前らも同罪やろ?」
「「「え」」」
「とりあえずへのお仕置きが先やから…首洗って待っとき。」

流石部長、容赦ない。かっこいいなぁと、完全なる現実逃避が始まっていた頭に警告音が鳴り渡る。


「さぁて、?」


ポンと置かれた手はスタートの合図。
その後、私が蔵と追いかけっこし続けて負けたのは言うまでも無い。




「謙也のあほー!!!!」
「何で俺やねん!」






080301 突発的すぎて何で書いたのか判らないけど、急に思い付いちゃったモンはネタにしないとなぁと。 似非ですみません四天は金ちゃんと財前がすきです何でか。 なんかベタだし途中で展開分かるしでおーんですね。 全体的に土下座モノですみません…!