ガラス――とまではいかなくても、プラスチックくらいの強度しかないと思う。


私の心は。









「ペットボトルだって千切ろうと思えば簡単にできるし、べこんべこんだし…」




叩きつけられて割れたりはしないけど、元に戻ることはなくて。


その弱々しさは、優柔不断な私そのものに感じる。





例えばそう、好きな人に声をかけられずに教室でソワソワしてるようなチキンなのだ、私は。



今だって、何度も書き直した手紙を彼の元に届けることも出来ない。





「鋼とまではいかなくても、鉄板くらいにはなりたいなぁ…」

「何が?」

「なんていうか心が。プラスチックはないよ。」

「そんな弱ないやろ。」

「弱いよ、だって私声もかけられない。――って…?」



溜め息をついて彼の机の前にしゃがみこむ。



ああでもないこうでもないとシミュレーションしながら呟けば、いつの間にか独り言が会話になってることに気付いた。



あれ、私誰と話してんの。



「自分、かわええこと考えるんやなぁ」

「白石、くん…!?」


どういうタイミングなんだろう、目の前には意中のひと。

何で彼が目の前に居るんだろうとか、掬われた手をどうしようとか、沢山の言葉たちが頭を駆け巡る。

これをパニック状態とでも言うんだろうか。



「思った通りやで、さん。」



酷く混乱した頭の中に、白石君の笑みが浸食してきて。

プラスチックであることの理由が追加されたとだけがハッキリ判った。



プラスチックはガラスより熱に弱い。







プラスチックハート







(俺の熱で形が変わるん?)

(俺の色的なアレですね)

(言うやん)






090825













白石はヒロインに声をかける前から彼女を見てれば良い。
そんで自分の机の近くで手紙握りしめてんのを見てニタニタしながら「あーかわええなぁ」とか思ってれば良い。