「ちょっ、アンタ顔色悪いわよ!」


世界が回る、そんな言葉が良く似合う爽やかな1限目…


「え、…ぁー、デキちゃった?」


なんて軽く笑い飛ばすと食いついて来たのが例に漏れずパイナポー男。


「本当ですか!?ついに僕らの愛の結晶が…!」
「ごめんめっちゃ嘘。ただの寝不足。」


何故かずっと寝付けなかったのは本当。
体がダルかったのはちょっと前から。


「あー、またゲームとかしてたんでしょー?」
「体育出れんの〜?」


呆れた顔してからかい半分に掛けてくれる声に、少しホッとして笑みを返せた。


「うぉら骸はさっさと消えなさい。」
「嘘はいけませんよ。」
「(半分は)ほんとだよ。」


会話中骸はいつもとは少し違う感じがしたんだけど、特に何も言わずに引いたので気にしない事にした。
というよりは気に出来なかったのが本当かもしれない。







まぁ、お約束っちゃお約束なんだけど、

「ぅっ…!」



早々に限界ってヤツが来てしまった訳で。
力が入らなくなって、その場に倒れ込んでしまった。



そこに誰よりも早く駆けつけたのは、不機嫌オーラ満載の骸だった。


「だから言ったでしょう。嘘は駄目と。」



怒鳴られるより、怖かった。




骸は軽々私を担ぐとスタスタと歩いて、呆けている先生ににこりと笑い、


「連れて帰りますね。」


返事・有無を言わさずに学校を出た。





道の途中、降ろして、と訴えても暴れても笑顔を崩さなくて、
意味が無いですよ。
と、言葉で刺されたので、これはもうかなわないと思って、大人しく骸の住処に連れられた。







「ちょっいたっ…」


入るなりドサっとベッドに投げ飛ばされ、もがく暇も無く覆い被さられる。


「むっ…何して…」
「欲情しました。」
「すっなおーーー!?」
「ハァハァしながら顔を赤らめてるなんて、もう夜伽を思い出さずに居られないです。」
「地味に古風だなぁオイ。
  で、ちょ、何してんの?」



体育の為に持っていたタオルだろうか、ひらりと眼の端に写ったそれは頭の方に移動した。
一方で両手を万歳の形にさせられ、手首にごわごわとした何かが巻き付けられ、固定されていく感覚。


「縛ってます。」
「しばっ…な…」


当然と言わんばかりの言いざまに、言葉が出ない。
ぎゅっと締め付ける早さは尋常じゃ無かった。


「って、感心してる場合じゃない!
  外して!離して!!」


ギャンギャン騒ぐと、頭もガンガンしだして思わず脱力する。
そんな私を見て、冷めた顔に似ている―けど絶対に違う―怒った顔をした。


「五月蝿い口ですね。」
「は?んん゛っ…」


腕はこの通りで抵抗出来ない。
不意うちで、いつもより荒々しい口づけは、執拗に私を貪り続ける。


「んんっ…ふっ…」


息が出来ない。
離してくれない。









「しんでむくろ…」


息をあげ、ぐったりとした私を見て満足気に笑うと、ほっぺにむちゅっと(きもい…)キスを落として、


「大人しく寝てて下さいね。」


と言って居なくなってしまった。





優しいんだか、何なんだか。


とりあえず、むかつく。







「…ありがと。」



それでも、ドアの向こう、聞こえてないはずのヤツに、そう呟かずには居られなかった。





(UP07/03/08 執筆07/01/27) 戻る 始めちゃったー。 私怪我ネタ病気ネタ大好きなんで、これからぱらぱら書こうと思います。 えっへへ。 シリーズ的であり、しかし別にシリーズでは無く。 一応シリーズ部屋にぶっこんどきますけど、他の兼ね合いもあるし、頻度は適当です。すみません。 しかし…どうして私が骸を書くと、こう変態くさくなるんだろう。