朝から体調が悪いのは自負してた。 だけど今は大会前で、私がへばってる場合じゃ無くて。 つい転びそうになったのを、軽々受け止めたのは赤也だった。 「うわっ、先輩顔色悪ッ!!」 「さ…騒いじゃダメだってば。」 あー、人が集まって来ちゃった。 そしてよりにもよって目の前に立ったのは 「たるんどる!早く休まんか!!」 真田副部長殿。 だけど予想に反して、説教では無く面くらってしまった。 部員たちに心配され、休んでくださいコールを受けたので部室でへばっていると、優しい声。 「ほら。これ、かけとけよ。―あんまあったかくねーけど。」 パサっと背中にかけられるジャージ。 ブン太のそれは、微かに甘い匂いがした。 「紅茶です。温まりますよ。」 柳生に差し出されたマグカップを手で覆ってみると、じんわりと手に熱が伝わる。 むしろ手じゃないところが温かい。 「ちゃんと休んでろよ?」 心配そうに部室を出て行くジャッカル。 なんとか「行ってらっしゃい」で見送って、そのまま浅く眠ってしまった。 ぱち、と目が覚めると、30分くらい経っていた。 少し休んだから、せめてたまっているスコアだけでもつけようと思って棚に手をかける。 それを阻んだのは、同じく―だけど別の人の―手。 「お前なんか居らんくても大丈夫じゃけ、帰りんしゃい。」 「に…お?」 鞄とコートを乱雑に置かれ、立ち尽くした私の耳に届いたのは透明感のある声。 「邪魔だよ。いらないから。」 ドアを指さし、私を冷たく見据える幸村。 心臓のあたりがずくんと痛んだ。 頭がガンガンして、言葉が見つからない。 「お前が居ない方が作業効率が上がる。」 柳にトドメを刺され、 「ごめんなさい。」と謝るしか出来なくて、フラフラと学校を後にした。 「ちゃんと…休むんだよ」 風に紛れた言葉は、ちゃんと届いてた。 帰り道与えてくれた温もりに、突き放してくれる優しさに、 涙が出そうになった。 どちらも優しすぎて、温かすぎて、私はとてつもなく果報者なんだと改めて知る。 その晩、眠りについた私の携帯には、いつもの1000倍元気が出そうな、新着メール8件。
07/03/27 戻 本当に、支えられますよね。 今回は友情テイストで。 すみません。精進します。