頭がフワフワして、顔中熱くて。
いわゆる風邪というやつ。


恭弥様は、怒って仰せられるだろう。








怖い。


何って朝一で連絡入れなかったから、今更(昼)言ったらどうなるか…。

いや、寝込んでたから不可抗力だ。と携帯に手を伸ばすも、リアルに展開が見え途中で断念…を繰り返す。
てか、携帯切ってるってかなりヤバいだろうな。
余計触れないなんて悪循環もいいとこ。



丁度薬が効いていたのか、私の思考はそこで途切れた。







「いつまで、僕放って寝てるつもり?」
あぁ遠くから声がする。恭弥君だ。
怒ってる模様です。弁解の余地も私の余命も無さそうです。
夢の中でまでこんなんって、大丈夫なのか私の生命。

「本当。バカだよね、って。」
その後ふわりと乗せられた手は、言葉と違って優しかった。

ぼぅっと目を開けると、一瞬だけ恭弥の優しい顔が見えた。

「きょ…や…?」











刹那、天使は悪魔になった。









「お早う、」
その美しい程の笑みは私を戦慄させる。
「お…はようございます恭弥様…」

会話開始第一声。
「ねぇ、殺すよ?」
「勘弁して下さい」

殺す種類すら言われない。

「ふぅん。僕が怒ってる事位、理解出来ると思ったんだけど。」

ワカッテマス。

視線が、声が、氷のようだ。

「君の非は、なんだと思う?」
「何だろ「御託はいらない」

濁す前に刺すように言葉が飛ぶ。


「…学校、勝手に休んだ事?」
「僕に無断で休んだ事、すぐに連絡入れなかった事、判ってて電源切ってた事、当の本人は呑気に寝てたこの状況。」
ペラペラと、相変わらず不機嫌ながら答え合わせ。
「ごめ「勿論謝れば済む様な話じゃ無い事位判ってるよね?」

じゃあどうすればいいんだろう。
ただでさえ寝起きで、しかも熱に犯されている頭は、正常には働かない。
もっとも正常に働いた所で考えつかないけど。




どうやって尋ねるか迷ってた矢先、恭弥は言った。
「とりあえず、学校で一瞬も寝る事が出来なかったから、寝かせてくれる?」
「え…あ、はい」
言われるままのそりとベッドから出れば、外気が私を包む。
ひんやりとした空気に、涼しー…なんてぼんやり思う。

「何やってるの?出なくていいよ。仮にも病人なんだからちゃんと寝てなよ。」
すると、さらっと恭弥は不可思議な事を言う。
私が、ベッドに居て良くて、でも恭弥は寝るの?



結論。
「それは…一緒に寝るって、事?」
この狭いシングルベッドに?
「そう。それで抱きついてて。」
私をベッドに追いやりながら、恭弥は学ランを脱ぐ。
「はァッ!?」
「狭いし。病人ってあったかいし。」
「…でも移「早く。狭い。」



「恥ずかしい…よ…?」
ぎゅっと背中に手を回しながらもごると、
「一瞬でも離したら…判るよね?」
と、恭弥様。
彼が葉が落ちる音で目覚めるという事実は、以前自身でいやという程理解したので、

「…ハイ。」

生きる為に素直です、私。






腕を回して思った。
恭弥、とても冷たい。
私の手が頬をかすめた時、何に触れたのか判らなくなった。
そしてシャツ越しに伝わる、ひんやりとした体。

「恭弥…ごめん…」
「言っておくけど許して無いよ。たかがこれ位で拭える程、君の代償は安くないから。
 この命令で1つ無くなっただけ。

 …ちゃんと残り4つも清算して貰うよ。」

言いながら、恭弥はぎゅうと私の背に手を回した。
4…?
予想外の行為に少し驚きつつも、疑問が生まれる。

きっとその代償とは、恭弥があげた、私の非に対する私への要求で、
だけどさっき恭弥が言ったのは4つなのに、それじゃ数が合わない。




聞き返すと
「、僕を心配させたからね。一番重要な所。」
って、呟いた。

「勿論…一番キツいから……」
言い終えてしまうと、すぅすぅと、恭弥にしては珍しく寝息まで立てて眠りに入った。


この後の事を考えると怖すぎるけど、くすぐったくて嬉しくて。
愛されてるこの冷たさと温もりが、優しくて。


「ありがと…だいすき。」

「…いいから病人はさっさと寝て。」
「うぇ、起きてたの!?」
「息がかかってくすぐったい。」

そう言って、恭弥はもっときつく私を抱きしめて、今度こそ本当に眠りに落ちた。







心なしか顔の赤い恭弥は、可愛くて、つい言ってしまいそうになったけど。


私の熱のせいって事で。





いつ書いたのか覚えてません。多分サイト作る前だなぁ… とりあえずイロイロ…はい。ごめんなさい。