「雅治、これから1週間ちゅー禁止ね。」 この一連の騒動は、の一言が始まりだった。 「は?」 「だから、ちゅー禁止。 百歩譲ってほっぺまではイイから、くちはダメ。」 理解出来なかった。 正直俺キスは巧い方だと思っとるし、だって嫌いじゃないはず。 昨日だって普通に別れ際にキスした。 だってのに、 「何で。」 思うのと同時に―それより先と思うくらい瞬間的に―口にだしていた。 「やだ。とにかくダメ。」 理由を尋ねたが、言うだけ言って突っぱねては去って行った。 「…ってな訳なんじゃが、何でだと思う参謀。」 困り果てて盛大なため息ついたら、珍しく柳が反応してきたから事のあらましを話してしまった。 「さて、何でだろうな。」 言わせるだけ言わせて…じゃないな。俺が勝手に言っただけだ。 人に相談に乗ってもらおう、なんて俺はどうかしてしまったのか。 しかも結局興味を持った他の連中にまで話す羽目になり… あまつアドバイスは最悪。思い出したくもない。 ああ言わんけりゃ良かったと心底思った。 はと言えば、キスすることを禁じる以外は全く普通に対応してくるから、余計に訳が判らん。 手を繋ぐのも抱きしめるのも嫌がらないのは実践済み。 そうなりゃ勢いでキスもしたくなる訳で、数日耐えた俺もついに限界を迎え、強硬手段に打って出た。 「待って雅治あと1日!お願いだから!!」 「知るか。」 ジタバタもがいたってもう遅い。 きっちり腰を捕まえてこちらを向かせる。 「まさはるっ」 「もう限界じゃ!」 無理矢理顔を近付けると、は触れそうになった唇を手で押さえてとうとう白状した。 「っう…虫歯!なの!! 今詰め物してるの!だから、ごめん!」 虫歯。 歯が菌に侵される、つまり虫歯。 思わずフリーズしてしまった。きっと今の俺は相当のマヌケ面。 「言えよ…」 事実を理解した途端脱力感に襲われ、そのまま地面に座り込んだ。 何のために必死になって考えていろんなヤツに相談したんだ、俺は。 「だって…何か恥ずかしいじゃん、虫歯。」 「くっだらねぇ…」 「…ごめん。」 しゅんとしたの姿を見たら、これ以上何も言えなくなっちまう自分がかなり情けない。 理由が判ってすっきりした反面欲求はとめどなくて、困った挙げ句に白い首筋にキスマークをつけた。 これ、俺にしちゃすげぇ譲歩。 「雅治、これじゃ見える!」 「お預け中のちょっかい。」 「歯医者さんに見られるでしょ!」 むしろこれを見て気まずくなればいい歯医者。 何の罪も無い歯科医に半ば八つ当たり。 だけどこれで少しは気が落ち着いた。俺の理性に感謝しんしゃい。 まだ膨れっ面な君は俺の最愛のお預けハニィ 「じゃあ明日歯医者終わったら、会いに行くから。」 「まじですか!」 良しまであと少し。
071110 戻 だかしかし歯医者行ったら麻酔治療されちゃってて更に5時間くらいお預けくらう雅治君でした☆ ああかわいそう。(他人ごと なんていうか…歯医者はもういいです。お腹いっぱい。 そしてこれ続きあります!笑 今思い出したけど、これの風邪版で清純君をもっとヒドい目にあわせたことあります。 どこにやったんだろあのネタ。(あれ?