まだ、泣くな。 泣いてしまいたい時泣けなくて、泣きたくない時ガマン出来ないなんておかしな話だ。 どんとぶつかった拍子に目から落ちた涙は、後追いですかコノヤロー、止まることを知らない。 「おまっ…!」 びっくりって顔、よりにもよって貴方ですか。 反射的に走り出したのは、見られたく無かったから。 だっと逃げ出した兎、 どうして追ってくるんだいアリス。 階段をのぼる足がもつれそうになる。 どうして私は逃げる時、下ではなく上に行ってしまったんだろう。 これじゃコンパスの違いをまざまざと見せつけられただけだ。 白兎役からはみだした私は、あっさりアリスに捕まった。 「アリスはキャラじゃないよ…」 「は?」 しっかり手首を握られてるからもう逃げようなんて思わない。 参ったなぁとため息を吐くと同時に、何考えてんだろうと自ツッコミが入る。 「仁王は追ってこないアリスっぽいよなぁって話。」 「意味、判らん。」 そう、ぶつかった“貴方”は今一番会いたくなかった仁王雅治。 泣き顔なんて見せられないから。 沈黙に耐えられなくて思っていることを言ったんだけど、誤魔化しだと拗ねてるんだろうか。 コツンと頭突きが降ってくる。 「びっくり涙ってことにしといてくれない?」 「してやらんよ。」 ありえないだろうなと思いながらも言ってみたら、やっぱり瞬殺されたお願い。 やだな、一人にしてくれないんだね。 ああ、やっぱり仁王はアリスかも。 物怖じしないと言うか、堂々とし過ぎていると言うか―そんな所が。 飽くなき探究心もそうだろうな。 だったら私は女王様に叱られて泣くトランプ兵辺りがぴったりかもしれない。 「?」 「トランプにも優しくしてくれるの、アリス?」 顔を覗き込んできたので思わず口走った。 目の前に居る銀髪のアリスに向かって。 「お前には優しいぜよ、俺は。」 私の問いに仁王は笑った。 意味なんて判ってないだろう。 きっと答えに聞こえただけだろう。 私だって混乱して思いついただけなんだから。 それでも私はそれを聞いて、ようやく素直に涙を流せた。 アリスはトランプ兵を抱きしめた 仁王の腕の中で、涙の理由は答えてもアリスの意味は知らないフリをしようと思った。
080726 戻 何か訳判んない話出来上がったァァァ!! どうしたんですか私ァァァァ!(聞くな 急に書きたくなったんです、仁王アリス。 ふてぶてしい感じですよね、仁王がアリスって。笑 最近泣くネタが多い私です。