「霧って、秋の季語なんだって。」
本をパラパラめくってて、さっき見つけた。
コイツが司ってるらしい、霧。
「おや、また勉強ですか?」
「否、別に。これはただのシュミ。」
「霧を見て、僕を想ってくれてたんですか?」
嬉しそうに笑む、骸。
「都合良いヤツは好かんよ。
…でも、まぁ、うん。」
「…!!」
しまった、うっかり本音を言ってしまった。
つけあがるぞコイツ…
「いや、ほら、秋似合わないなーって、…思ったけど良く考えたらむくろって季節感ないよなっ
て。」
必死に弁明するけど、もうそれが無駄だって事くらい判ってる。
「そうですか…クフフ。
を想う心はいつでも夏ですし、春のように爽やかですし、冬の焦がれ「うっせ
ぇ判ったっつの。」
あーうざい。言うんじゃ無かった。
「でも一番。一番ふさわしいのは、秋かもしれません。」
「…どうして?」
そう言った彼の顔はあまりにも儚げという言葉が似合って、いつもと違う風で、だからつい聞き返してしまっ
た。
儚いっていうのも、おかしい気はするんだけど、そう思えたんだ。
「―良い事を教えてあげましょう。
秋の季語には鹿もあるんです。」
「しか?」
何の事だか、判んなかった。
しか。しかって動物の?
「はい。」
「…それとむくろが何のカンケーにあるの?60文字以内でトライ。」
別に意味は無いんだけど。
「ム。難しいですね。
一言で言えば『愛ゆえに』ですが。」
「は?」
もっと真面目な理由が紡ぎ出されるのかと思えば、またアホみたいな言葉。(失礼だがこいつが言うとアホにしか聞こえない。
…いや、待て。
これはもしかしたら私に対する切ない感情とかを本気で言ってくれるかもしれないんだ。
まだアホだと決めつけるのは早―
「『雄鹿は秋になると愛欲にかられて雌鹿を求めて鳴くのだそうです。ゆえに秋
の季語で、恋の歌などにもよく使われてたらしいですよ。』
ホラ、60文字ピッタリです。すごいでしょう?愛撫してくれていいんですよ。
」
んな訳無いよね!
とりあえずシカトしとこう。
「…つまりキサマは万年発情期だと。」
ってアレ、これダメじゃない、むしろ逆効果じゃない。
「僕じゃないんです。がそうさせるんです。」
うあこいつハァハァ言ってるんですけどマジで。
っていうか何これヤバい押し倒され
「貴女が愛しいと、ないているんです。」
そう言った骸は不覚にもかっこよくて、さっきまでのアホすらチャラにしてしまいそうな自分にびっくりした。
もう季語なんかどーでも良くなってて、骸が居ればいいのかもしんない、なんて思った事、絶対言ってやんない。
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06/11/19
復活部屋へ
シカトの語源もそこからきているそうです。
っていうか花札の鹿が、秋の鹿の様子から来ていて、そこからシカトが云々かんぬん…。
だそうですよ!!中途半端失礼。
微妙に長くなるので気になる方は管理人にお問い合わせ下さい。(笑