南の沖縄とは言え、季節柄随分と風が冷たいと言うのに、凜は未だにジャージを全開にして部活に臨んでいる。





練習上がり、「寒くないの?」と訊ねれば、彼は一瞬ポカンとした後、


「寒いに決まってるさー」


と、手を擦りつけた。









「寒いなら閉めれば良いのに。」
「うわー、またのジャージフェチやっさー!」
「違うよばか。」
「ぐふっ…!!」


凜は意味のないことはしない。
だからこそ理解できなくて、何故だろうと思いつつももっともらしいことを言えば、甲斐がニヤニヤしながら茶々を入れてきた。

コイツは…!

今更そのネタもないでしょうにと、エルボーで撃墜してやると、


「」


って、私を呼ぶ声。
振り向けば、凜がちょいちょいと手招きしている。


「なぁに?」
「良いから。」


先ほどから声に変化がないせいで、何を考えてるのか本当に読めない。
あの冷えた手をほっぺたにつけられたりするんだろうか、などとイヤな予感に顔をしかめつつも、ゆっくりと歩み寄ってみた。

すると思った通り腕が伸びてきて、











むぎゅっと、抱きしめられた。






「えっな、ちょ!?」
「やったー何やってるさ?!」


凜の思わぬ行動に甲斐まで驚いて、顔を夕焼け色に染める。


「寒いから、カイロ。」


私と甲斐が動揺しててもしれっと言うから、余計に言葉が出なくて。


「前が一番あったかい。」



楽しそうに笑うのを見て、始めから計画してたんだと判ったから、諦め半分に抱き返した。







触れる紫







(凜、やー恥ずかしくないんか!!)
(どこが?)
(…)













090415




甲斐くんが可哀想なはなし!(を

誰にするか迷って劉さんに無茶振りしたら凜になりました。笑
何となく凜ヒロインさん固定になっちゃったなぁ…

とても冬なお話です。4月って…!!

相変わらず似非です…!