「で、――――と言う意味なんだ。」





いつもトリビアを披露してくれる国語の仙崎先生の授業。
今日も、とびっきり面白いネタを提供してくれた。


にわかに頬を染めちゃって、何考えてるのかバレバレだよ、。
ホント、バカップルと言うか、何というか。
夏なんだからこれ以上暑くならなくていいよ、ホントに。



「バネー」
「ん、おぉ。」

授業終わって部室に向かう途中、バネを見つけて超特急。
嬉しそーな顔しちゃってさ。
あぁまた始まったって、苦笑い。

「バネって、“だいじょーふ”だね」
「はァ?」
「だいじょーふ。」

ご機嫌だなぁ、ほんと。
ほらほら、周りも暑苦しいって顔してるんだよ。(特にバネさんがって)
恋は盲目って言葉を作った人に俺は敬意を払いたいよ。


「大丈夫じゃなくて?」
「だいじょーふ。」
「何だよそれ?」
「判んなくていーよ。あ、ダビデー」
「あ、おい!…ったく何なんだか。」
「お前、国語の先生仙崎?」
「ん、いや、違うけど…」

があまりにもはしゃいでるから、ちょっと意地悪しちゃうよ。
秘密にしときたいんだろうけど、まぁたまにはいいよね。


「今日漢文やっててさ、漢字は大丈夫なんだけど、“だいじょうふ”って読むんだってさ。」
「へぇ。やっぱ大丈夫じゃねぇか。」
「どっこい意味が違うのねん。」
「いっちゃん。」

「“頼り甲斐がある男”って言う意味らしいよ、昔だと。」
「つまりはバネの事だいじょうふなヤツって誉めてたのね。」
「ストレートに言わないあたりがらしいよな。」
「なのね。」
「面白かったよ、の授業中の百面相。」


「―オイ、ダビデ!俺の返せ!!」


わわっ、何だ。バネさんタンマ!バネがご乱心だぞー
どよめきが起こる前方を眺める。
顔を赤く染めたがこちらを睨んでる。


「青春なのねー」
「いっちゃんも人のこと言えないだろ」
「サエだってそうなのね。」
「あーまぁ……え。」
「俺を誰だと思ってるの、サエ。」

うわ、バレてる。
流石幼馴染って感じだね。

「いっちゃんには勝てないなぁ…」


仰いだ空はキレイに晴れ渡ってて、その先にアイツの顔が浮かんだ。



アイツは、俺のことだいじょうふって思ってくれるかな。















090313




はい、サエ視点のバネさんでした。
予備校の冬季講習で習いましたよ確か。(いつの話!?
いっちゃんはすごく細かいとこまで気配りできる子だと思います。