女の子に人気な、少しチャラい系の塾講師が、ポニーテールを嫌いな男は居ないと断言していた。
何でも、かなりそそられるものがあるらしい。



ケッ、んな訳ないじゃんばぁかと思いつつも、やっぱり気にしてしまうのが女の子。
翌日、ちゃっかりしっぽを揺らしている私が居た。


うちの学校ではそれなりに人気のある塾だからだろう、いつもはどんなタワーなの?と思うお団子頭も、今日は見る影もない。

ああ、浅はかかな女子中学生。
うち一人である私も、あまりのポニー率にちょっと恥ずかしくなってきた。

まだホームルーム始まるまでに時間があるのに、これ以上増えたら嫌すぎる。
何の宗教だ。

鞄からくしとピンをひっ掴んで、トイレに向かおうと立ち上がる。

…と、クンッと強く引っ張られた後ろ襟。




「そげにきれいに出来とるんに、直すとや?」
「え、いや、変えようかと…」


手の主は隣の席の千歳くん。
珍しく遅刻してないどころか、クラス恒例の賭が始まる前に来てるなんて。

その事実に驚く間もなく、千歳くんは私の正面に立ちはだかった。
軽く屈んでいるから、目線を外せない。


「えー、もったいなか。」
「や、そんなこと…」
「似合っとる。」


ふわ、腕が髪に伸びる。

ゆらゆら揺れるのは、しっぽだけ?


「うん、やっぱこの髪型スキ。」
「ッ?!」
「今日1日、どっこも行かんから、隣で見さして。」


可愛い、なんてクラスの男子に面と向かって言われたことあっただろうか。
もう、容量オーバーだ。


にっこり笑った千歳くんに返したのは、言うまでもなく―。





ゆらゆら揺れる











091231




はぴば千歳!
書いたのは昔のですが愛を込めて。