「やっぱり変わるものだね」

精市はフフ、と笑って私の頭を撫でた。



お互いそれなりに忙しかったから、今日は久々のデート。
だからいつもより少しだけ頑張ってみようと思えて、自分なりに一生懸命服も選んで、薄くだけど化粧なんかしてみたりして。
ドキドキ胸を高鳴らせて待ち合わせ場所へ向かえば、軽く手を振ってベンチから立ち上がる彼の姿。
かけられた第一声は少しからかいにも聞こえたけど、それに気付いてくれた事に、手を取って歩きだしてくれた事に嬉しさと幸せを感じずにはいられない。
顔が弛むのくらい見逃して下さい皆様。



ゆっくりゆっくり、どうでも良いような事にも時間をかけて二人で歩く。
小さな花だったり、変な置物だったり、建物だったりを見てはしゃいで指さして笑い合った。

休憩しようと入った喫茶店で、時計を見れば3時過ぎと言ったところ。

「おやつの時間だね」

私を見て言った精市は少し意地悪だと思ったけど、欲望に忠実にケーキセットを頼んだ。
案の定、精市は笑いを噛み殺して肩を震わせていた。


ケーキを待ちがてら、水のグラスに口をつける。
冷たい。
けど、寒さに比例して火照った熱を冷ますにはちょうど良いかもしれない。
氷とグラスがぶつかって、カランと涼やかに音をたてた。

精市をそっと見ると、バチっと目が合ってしまって顔を俯ける。
盗み見るだけのつもりだったのに、あんなにもふんわりと笑うなんて。
さっきはあんなにニヤニヤしてたくせに。

幸せすぎて頭おかしくなりそう。




ふと、いつもなら聞こえてくる筈の「照れ屋だな」って言葉がないことに気が付いた。
こうして目をそむけると決まって笑うのが精市だ。
顔をあげると、目の焦点のあっていない彼はぼんやりとしている。


「どうしたの、呆けて。」
「いや、な。」


疲れたのかな。まさかさっき目をそらした事に怒った?でもいつもの事だし…グルグル考えながら声をかけると、
精市は苦笑いを浮かべながらグラスを指さして

「こういうのどうでも良いと思ってたんだけど。」

と言った。

「へ?」
「見ての通り…口紅の跡のことだよ。」

こういうのって何、と首を傾げると、精市にしては歯切れ悪く答えた。
良く見ると、確かにうっすら移ってしまっている紅色。
それの何がまずいのかがまた疑問になる。

困ったような笑みに、どうしようとこちらも口ごもると「判らないかい?」と声がかかったので素直に頷く。
精市はあちゃーって顔でため息を吐いて、ややあってから再び口を開いた。


「欲情しちゃったって事。」


唇にキスが落とされたのは、それから間もなく。




その色は鮮やかな紅色







081220 公共の施設ですご飯食べる場所です精市君! 何かそんな幸村が可愛いと思った訳で、てかこのネタブン太に振ろうと思ってたんだけど、 てか良く考えたら赤也でも良かったけど、まぁお子ちゃま's(ひでぇ)より幸村様ってことで! まぁいいじゃない幸村様だもの。 幸村様に言わせてみたかったんだもの!(言い切った! Tちゃんに以前メールで送りつけたらしきもの。