「ヒバリ…さいきんどうしたの?」
「何が?」


読んでいた書類から、視線を訝しげに私に変える。


「うんーーーと。表情が豊かなツンデレになったね。って話。」
「何?」


コワッ!
向けられたすさまじい殺気に怯む。




「…うん…
 だってね、変な顔もするようになったよ。
 少しずつだけど表情が変わってきた。幅が広がったって、言うのかな?」


最近のヒバリは、見たコトも無いようなカオをする。
今までとは違う、カオだ。


そしてそれは、


「沢田君達のおかげ、かな。」


って、コト。




「―どうでもいいよ、あんなの。」


ヒバリは少し考えた後に、吐き捨てるように言う。


「ホラ。そういうカオ。前はもっと淡々としてたよ。
 …もっと色が無かったよ。」



以前は違った。

『沢田君達って、ヒバリのお気に入りなの?』
窓の外の彼らを覗いていたヒバリに尋ねると、
『アイツら自体に何も得るモノは無い』と、抑揚もなく言った。


あの時の、ヒバリとは違う。





「ほめてるの、貶めてるの?」
「ほめてるよ!」
「じゃあもう少し、判り易くほめてくれない。
 バカにされてる気分になる。」
「違うし!」

それは良いコトだと思う。
世界に興味が向いてるってコトだと思うから。



「…ただ。

 …あ、やっぱ何でも「言え。」



高圧的デスヨー、ヒバリ様。



「ヒバリが、そういう風になったの、は。
 …私のえいきょーじゃないってのが、くやしいだけです。」


根本は変わらない。      判ってる。
どんなヒバリだって大好き。  変わらない。


けど。



「男に妬かないでくれる。」

一人だけ変わっていく。私なんか関係なく変わっていくのは、寂しい。

「拗ねてるだけだもん。妬かないもん。」

私がアナタを変えたいの、なんて大それたコト言うつもりはない。
思っても居ない。

そんなんじゃ無いの。




「毎日毎日。こんなお子様と一緒に居たら少しくらい表情も変わるよ。」

呆れたよ、ってカオ。

「きっかけは、でも。」
「うるさいよ、ガキ。」


気付けばヒバリは随分私の近くに来ていて、私を腕の中に押し入れた。


「こんなコトするキャラじゃ無かったよ、そもそも。」

どう責任とってくれるの、これから。


囁いて、私のカオを見た。



ああ、そうだね。

優しく笑うようになったのは。






自惚れてもいいってコト、ですか?




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