興味が沸いただけだ。

僕を見て恐怖を写さなかった、その瞳に。







彼女を初めて見たその日も、僕はいつも通り草食動物たちを見回っていた。
些細なことでももめ事は秩序を壊す。
並盛の秩序を壊されるなんて、あってはならない。

そんな事を思いながら2年のフロアを歩き終えた。
次は、問題児を抱え込んだあのクラス―1―A。
案の定、騒ぎを起こしていたので、薄く笑みを浮かべながら注意に入る。

水を打ったように静かになり、凍り付いた彼らの表情を見回していた時に、見つけたのが彼女だった。











「1―A、。」

放課後の図書室。
もとより人の少ないこの部屋は、僕の登場によりほぼ居なくなりなり、座っているのは彼女ただ一人だ。

「え、」

声に反応してが振り向く。
どういう顔をするだろう、話したことすらない風紀委員がすぐそばに居る、だなんて。

「ひばり、さん?」

反応を待ち構えていたけれど、は目をしばたかせて僕を確認すると、静かに本を閉じた。
それだけだった。

「どうしたんですか?」
「…君は、変な子だね。」

想定外だ。
てっきり泣くか逃げるかすると思っていたのに。





その顔を恐怖に歪ませてみたいとも思ったし、そのままで居て欲しいとも思った。




「連絡先を教えてくれる?」

次の瞬間には、頭より先に口が動いていた。
―実際には有り得ないのに、そんな感覚を覚えた。






不可思議な感情






090907