「し…信じらんない…」 学校に着いた瞬間に止む雨。 ていうかめっちゃ晴れてますけど?! スカートも靴下もローファーもびちゃびちゃで、髪もぐちゃぐちゃ。 鞄の教科書たちもきっと残念な事になっているだろう。 ああ、一日中降ってりゃまだ許す気になるのに。 何で止むんだか。 釈然としない気持ちに駆られていたら、不意に遠くから「お〜い」と言う声。 「着いたんだな〜」 そこには私の彼〔 電波 〕 「は?何で今着いたって…」 「雨が止んだから。」 マジで電波すぎて、どこから突っ込んでいいのか判らない。 彼が電波なのは元々なんだけど、いつも以上に対応に困る発言をなさる。 「武君、意味が判らないんだけど。」 「だって心配でよー、おまえに変なヤローが近寄らないか。」 「……は?」 「俺って雨の守護者らしいからさ、天候も操れるようになっちまった!」 「は?」 さっきから“は”しか言ってないよ私。 「だーかーらー、俺がお前を守る為に降らせてたんだよ、雨。」 なんてこったい、人間的に不可能な事なのに、コイツなら出来ちゃいそうで怖い。 ていうかマジで言ってんの?いやでも待ておかしいよねやっぱり…でも― あまりにも常識外で混乱する頭に、割り込む声。 「?」 「う、ぇ、はいっ!!」 「大丈夫か?」 その目があまりにも真剣すぎて、つい、 「うん、ありがと…」 なんて言ってしまった。 それを聞いた武が満足気に笑ったりするもんだから、考えてたことも全部どうでも良くなってしまった。 「良かったけど、濡れちまったなー あっためてやるよ。」 「いらんわう゛ぉけ!」 「なんだよ〜今 ちょっ武恥ずかしいから何でそんな事シラフで言っちゃうの!えっ…どうしよう ってちょっと期待を持って思っただろー?」 「はぁっ?!何でわかっ……あ。」 君は私の電波な彼氏。 「なぁ、愛してる。」 でも憎めない、愛すべき彼氏。
070422 戻 電波な彼も可愛いと思うのです。 電波もシリーズしてみたいなぁ…