「あー…」

イライラ
イライライライラ



募っていくのは苛立ちばかり。



イライラ

イライライライラ

イライライライライライラ


イライライ ライ ライ ライ ライ ラララライ♪



「って違うわヴォケぇぇぇぇ!!」
「あンだよいきなり五月蝿ェんだよ野球バカ馬鹿!!10代目の繊細なお耳に障るだろうが!!」
「うっさいバカ寺!アンタ月1回3日間毎日献血行って血ィ抜かれて来いよ!もしくは今ここで殴らせろや!」


イライラは最高潮。
それはもう、思わず無実の獄寺を殴りたくなるくらい。
いや、殴っても良いんじゃないか、一発だったら。


ガタンと音をたてて立ち上がると、負けじと獄寺も睨み返してくるもんだから余計に腹が立つ。


第一なんだ、“野球バカ馬鹿”って。
2回言われてる気分になるじゃんか。
そして私の頭!どうしてイライラからあの無駄に明るい声のお笑い芸人になるんだ!





ああもう、ちくしょう。







渦巻く思いとおんなじように、回ってきたのは世界。



ぐらり、歪む。




思わずよろけたのを見て、獄寺が あ って顔をする。
こちらを伺っていたツナも目を見開いていた。




まずいかも。










ボスン、




幸い、何かにぶつかって倒れることは無かった。
ひと安心。と言いたいところだけど、


あれ、ぶつかるような障害物はあっただろうか。




振り返ろうとすると、その障害物から腕が伸びてきてぎゅっと抱きしめられた。
そういえば、背中に感じるソレは柔らかくてあたたかい。
それに痛く無かった。


「カッカすんなよ、。」
「たけし?」


何となく判ってたけど、ぶつかったモノの正体は、今まで私らが待ちぼうけくらってた原因の、獄寺曰く“野球バカ”。


「遅ぇんだよお前は!」
「わりぃわりぃ。」


つっかかる獄寺に“センセーがプリント山のように運ばせてさ!”と言ってキラキラ笑う武が眩しくて、居ても立ってもいられない。
すぐさま方向転換して飛びついた。


「ん?どーした?」
「だって獄寺、急に怒鳴る…」


言葉の繋がりもへったくれもない。
甘えるようにしがみついて、おもちゃを取られた子供のように、たどたどしく言葉にする。


「そりゃお前が…!」
「帰り寄って良いか?お前んち。」
「聞けよ!」


武の手のひらが優しく撫でてくれて目を細める。
が、獄寺に強引に肩を引かれ、痛みにじわりと涙が浮かんでしまった。
それを見てギョッとする獄寺。
正しい、正しいんだよ獄寺は。



でもごめんね、今は―


「女の子は大変なんだから、獄寺も労ってやらなきゃ駄目だぜ。」


にこりと笑う武に、うんと甘えさせて?






優しさが欲しいお年頃








081108








八つ当たりされた上にアテられる獄寺と何もしてないけど見せつけられたツナがかわいそうな話ですね。
フェミニストな山本って初めて書いた、かも。