「女王バチとミツバチ」


昼休み、穏やかに流れていく時間の中、はブン太と俺を指さしながらそう言い放った。

もちろんどちらが何だ、なんて言うまでもない。





「俺のドコが女王?」


いきなり何だとは思ったが、唐突なのはいつものことだ。

女王だと言われたブン太は、案の定理解できないといった顔で首をひねった。



―が、


「まぁ…言わんとしてることは判る。」


俺とブン太のダブルスの形について言いたかったんだろうな、というのは明白だ。

非常に微妙な心持ちにはなるが、友人としての関係にも当てはまらなくはない。


「でしょ?」

「俺が働きバチって言いたいのはよーくな。」

「どこがだよ。」

「「いや、全体的にだよ。」」


未だ不満げなブン太に二人の声が重なり、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。





「…あ。」


それを見てますます拗ねるブン太だったが、何かに思い至ったのか、急に目を見開いてに人差し指を向けた。


「じゃあはハチミツか。」

「「は?」」


ブン太は、「あーそうじゃん、俺すげぇ」と一人で納得して、傍らのいちごミルクに手を伸ばす。


「ミツバチが運んできた甘い蜜じゃん?んで、俺のモノ。」


自信ありげにニッと笑うと、ズズーっと音を立てて紙パックのそれを飲み干した。





遅れること数十秒、俺とはその真意を理解して。


「モノでない!」


必死に叫んだの声は、予鈴とブン太の腕に掻き消された。








世界はアイツを中心に












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FlyingToy 狭霧朋真