罪悪感は拭えなかった。 どう考えたって無理だと思った。 探索中に言われた言葉を思い出すだけで前後不覚に陥りそうなくらい苦しくなる。 それはたった一つの事実。 私はみんなを騙してるってこと。 仁王だけじゃない。 みんな、みんなだ。 余裕が出てきた反面、苛立っている様子も顕著に現れてきた。 それがこの合宿の目的だって判ってても、見るに耐えない。 彩夏、気丈にしてるけど、自分だって不安に違いない。 時たまふらりと居なくなっているのを知っている。 つぐみ…今は何とか持ち直しているけど、ずっとそんな風に振る舞っていられない事くらい判っている。 夜一人で泣いているのも知っている。 苦しいに決まってるのに。 言葉にしない私。 おじさんの同意だってあるじゃない。 仕方無いって思ってるじゃない。 “痛々しい彼女を見ているのが苦しい。” でも違うよね。 騙し続けてる自分が苦しいだけで、早く…早く解放されたいだけなんだ。 汚い。 そう思ったのとほぼ同時だろうか、とにかく周りに気を向けなさすぎていた私に、びしゃっと体に冷たいものがかかった。 「うわッ先輩!」 「大丈夫!?」 今日は厄日なのかもしれないな。 ポタポタと髪から滴が落ちて、地面の色を変えていく。 慌てて駆け寄って来たのは、水遊びでもしていたのか、私と同じくらいずぶ濡れの赤也君と越前君と桃城君の3人だった。 「すんません…ってうっひゃ! 先輩何つー顔してるンすか。真っ青ッスよ。」 「だいじょぶ…」 ムリヤリだったけど笑顔を作って返事をした。 「何がですか!」 すると赤也君は少し声を張って叫んで、唇をギュッと噛みしめた。 水をかけたことが原因じゃないって事はお見通しのようだ。 少し俯いて、思いがけない事をぽつりと呟いた。 「アンタ…見てて痛々しいよ。 壊れちまうんじゃないかって、不安になる。」 「あ、かや…君?」 「何で自分を責めてるのか、なんて聞かないけど。」 いつの間にか取ってきてくれたらしい、タオルをポンと肩にかけながら幸村君は真剣な顔をする。 そしてその言葉を越前君が拾う。 「もっと肩の力、抜きなよ。」 「頑張ってるアンタの事、誰も責めたりしないって。」 みんなの声が、心に響いてとても温かかった。 泣きたくなるくらい嬉しかったけど、同時に心臓を潰されそうだった。 私はこんなに優しくしてもらう資格が無い。 ウソツキという言葉がこだまする。 なおさら思い知らされた。 私は、裏切っているのだと。 そんな私を見越してくれたのか。 意地悪に微笑んで、明るく幸村君は言った。 「まぁとりあえず水をかけた赤也に越前に桃城は罰掃除だな。」 「「「ゲ…」」」 3人共、あまりにもキレイに声も反応も揃えるから、思わず気を緩めて笑ってしまった。 それを見て、彼らも笑っていて… ねぇ神様、私は薄情だ。 この生活が、愛おしいとさえ思ってしまうの。 070923 戻