次の日から、仁王の追及はピタリと止んだ。 万々歳じゃない。 変なの。 あの場所を、恋しいと思うなんて。 空き時間に散歩してたら、たまたまつぐみと談笑している仁王の姿を見つけてしまって。 足が地に縫いつけられたみたいに動かなくなって食い入るように見つめていた。 ふと気がつけばつぐみは居なくて、目の前に仁王なんて状態。 「おはよ。どうかしたか?…ってか、お前さん、もう大丈夫なんか?」 仁王は昨日の晩の事を、もう忘れてしまったのだろうか。 私だけ、夜中にグルグルと考えて居たんだろうか。 何でそんなすっきりした顔してるの? つぐみと話して、楽しかったからなの? 「からかいモードに頭なでなでモード、ね。」 可愛い子には優しいのね。 皮肉ってそう言うと少しビックリした顔をしてから、 「お前さんが望むなら、キス責めモードも舐め舐めモードもあるぜよ?」 と、妖しく笑った。 その顔が、あまりにもキレイに思えて、顔が赤く染まるのが判った。 「きもいエロい変態!!」 「釣れんのぅ…」 言いながら仁王は至極楽しそうで、子供っぽい顔してて。 ああ、悔しいな。 仁王が喋ると嬉しい。 私の隣に居てくれないと寂しい。 ほかの子と喋っているとイライラする。 始めよりも笑いかけてくれて幸せ。 泣きたくなるくらいなの。 自分に嘘をついても仕方ない。 自分の中で仁王だけ分類出来ない理由、本当は最初から判ってた。 私は、仁王に恋してる。 071027 戻