拍手3期 「ペットボトル」 雲雀 山本 仁王 幸村 ←jumble *雲雀* びしゃっ 「あっ…」 気付いた時にはもう遅い。 振り向いた彼は至極不機嫌そうな顔で言う。 「何するの。」 あまりにも間抜け…というより気恥ずかしい理由に口ごもると、ますます不機嫌に懐に手を伸ばしカチャリと音をたてる雲雀様。(きっとトンファーだ 「いや…ちょっ、恋人っぽく後ろからペットボトルなんぞあててですね、 『ワォ、冷たいよ』『ウフフw』 みたいなことを…ごめっ、ごめんなさ…!」 しぶしぶおずおず口を開くと、雲雀さんの声マネをした(自分で言うのも難だけど結構似てた)直後喉にトンファー突きつけられました。ワォ死んだ。 「ごめんなさいすみませんもうしません許して下さい!!」 「首筋が濡れて余計に不快。」 怒涛の勢いで謝ると、プイとそっぽ向いて割とあっさり離してくれた。ちょっとびっくり。 「すみません…」 「判れば良いよ。 ―次からはちゃんと水滴拭いてよね。」 その上お許しがでました。予想外。 次もやっていいらしいんだけど、どうしよう。(だって雲雀さん、顔が赤いんです) △戻 *山本* 「山本ー!!」 「ん?」 練習中のアナタに向けて、ポーンと弧を描き飛んでいくペットボトル。 「おーサンキュ!いつも悪ィな、何か。」 「いいの!」 だってアナタの笑顔で充分だから! って恥ずかしいな私!! 「なぁでもごめん、もういらねー!」 「え…」 なのにいきなりリストラ宣言。 マジですか…? 「いらねーからもっと近くで笑ってくれよ!俺、水よりお前がいい!」 「えっ!?」 そりゃちょっと、ダイタン過ぎやしませんか? 「でも水分も取んなきゃだめ!」 「じゃあ両方摂取で妥協しようぜ?」 「うん…うん?」 日本語違うよ山本君。 △戻 *仁王* 「フツーさ…」 少し苛立ち気味の彼女。 わざと気付かないフリして対応。 「何じゃ?」 「この真夏日にホットのミルクティ買ってきてくれる彼氏が居ますか?」 「ここに居るじゃろ。」 「ばか。ばーかばーかばーか。」 「じゃあ飲まんでつっ返しゃ良かったやろ。」 あまりにバカバカ連呼されたのて少しムッとすると、返ってきたのは憎まれ口じゃ無かった。 「…飲むもん。雅治がくれたから飲む。ぜったい、残さない。」 ああ、バカ、口とがらすな。可愛すぎて死ぬから。 「あー…俺の愛が熱いってコトでどーじゃ?」 「ホントは間違えただけでしょ。」 「プリ。」 間違えたのはホントだけど、俺の愛が熱いのも、ホント。 △戻 *幸村* 「ちょっキャップ様!待って下さいマジ勘弁して下さい!」 不覚にも、ペットボトルのキャップを自らはじきとばしてしまった。 そしてキャップvs私というアホらしい戦いが始まって… 戦況はキャップ優勢。小回りの効くボディと不規則な動きで私を翻弄する。 だけど― しめた、カベだ! カベにぶつかれば止まると思っていた。 しかし予想を反してヤツはカベにぶつかってコロンと道を戻る。 が、不意打ちで当然私は戻れず。 ばしゃっ… バランスを崩し、勢いで思い切りお茶を被る始末。 「さいてぇ…」 どうしようもなくて小さく呟くと、再びキャップがぶつかってカラカラ回り止まった音と、クスクスと笑い声。 「大丈夫か?」 青いハンカチを差し出す人は 「…き、むらせんぱい?」 「惜しい、幸村だよ。」 言いながら先輩は私からペットボトルを取るとキャップを閉めた。 そう、幸村先輩。 いやもちろん知ってますよ! だってだって憧れの人ですから。 「てか、いや、大丈夫ですよこれ位!!」 慌てて立ち上がるとポタポタと雫が滴り落ちる。 うわっ、超マヌケじゃない私? ああもう穴があったら入りたい。ってくらいで顔が熱くなる。 「面白いヤツだな、お前は。」 幸村先輩はさして動じずにまたふわりと笑った。 「少し話をしたいな。掃除がてらにどうだ?」 死ぬほど恥ずかしかったけど! 憧れの先輩と話せたからまぁ…いっか。 ここから始まる恋もある? △戻