転校先の学校は肩が凝って仕方ない。
独特のノリとか通学とかその理由はいろいろあるけれど。

一番疲れるのは、“バカ”が使えないこと。

だって関東でバカなんて大したことじゃないし。
むしろアホの方が使わないし。
ただのストレスだ。


特に過剰反応してくるのが同じクラスの一氏ユウジで、言葉もキツいしすぐ怒るわりに絡んでくる面倒なヤツだった。







「ばか、みたい。」
「おまっ、またバカって!」


今日も今日とていつもの癖でポツリと呟けば、ワァワァと騒ぎ立ててくるユウジ。


「あー、ごめんねごめんねー。」
「ユウジ違いじゃボケ!」


ああ、そうだったかも。なんてぼんやり考える。
お笑いチェックに余念がないんだなぁと思う反面、私は暑さだとか日々のストレスにやられていて、つい、反抗してしまった。


「うっさいなー、私自身がバカだって言ったの。ユウジじゃないし。」
「ああ、またバカ言うたなお前!」
「うっさい!自分をバカって言って何が悪い訳!?」


どんどん怒りのボルテージが上がっていく。
大阪にきてから、初めてこんな大きな声を出した。
教室中の視線が集まってるけど、そんなの気に出来るほど私は冷静じゃなくて。



「ちゃうわ!お前はアホやねん!」


そんな私に抗議するようにか、勢いに任せて机を叩きつけるユウジ。


「自分をそないな風に貶めんなや!」
「おとし、め…?」


彼にとってバカって言葉は、私の想像を遙かに越えたものらしい。
貶めるなんてそんなレベルなのかとびっくりして言葉に詰まる。


「お前はアホなんや!分かったか。返事!」


ユウジは真っ赤な顔でこちらを睨みつける。
興奮か動揺か、その中に照れが見え隠れしているのは気のせいだろうか。


ああ、どうしたんだろ私、アホって言われてるのに。


「は、い…」


つられて熱くなる頬と一緒に、こくりと頷いた。





きみをだいじに。






100115











今ってどうなんですかね。
ふつうに使うんかな。ばかって。
普通に気にせんかったらすみません。古い人間で…
某方が「きつい感じがする」と言っていたんですが、うーん。
でもユウジはそういうの気にすればいいと思います。可愛い可愛い。
脳内のユウジは照れ屋の天使です。

しかし四天ページがだけ人数異常だよ…