穴が開いた。 が1番しっくりくる気がするんだ。 寂しいとか悲しいとかじゃなくて、何も無くくなってて、ただ痛いんだ。 空虚なこの心は、やっぱり穴が開いた・としか言えない。 「卒業…かぁ…」 全く現実味が無かったモノだった。 永久の別れじゃあるまいと、かなり楽観的な考えで。 部活にも来てくれるって言ってたし、たまには遊びに行こうなんて約束もしたし。 大丈夫、あの人を送り出す事が出来る。 そう、思ってた。 じゃあ、目の前に突きつけられて思うこの気持ちは何だ。 「卒業かぁ…」 動かない頭はその2文字だけを繰り返す。 見上げた空は、目に痛いくらいのアオだった。 ちっとも言おうと思わなかったんだ。 アナタガ好キデス この距離が丁度良い、二度と会えない訳じゃない。 そんな言い訳して。 実際はその日が近付くにつれてそんな余裕、無くなってきた。 いっそ、行かないで・なんてマンガみたいな事、言えれば良いのに。 だけど所詮留まれる訳が無いなんて、こんな時だけ無意味にリアリストで。 グルグル同じ所を廻り続けて、気付けば来る日。 「おめでとう、ございます。」 そう言って、花束を差し出す。 笑えない。笑って送れる訳が無い。 顔見られない。顔見せられない。 先輩は話の合う後輩に思ってるんだ。 だから私が泣いたら困る。 てか、キャラが違う。桃と同じ部類なんだから。 私は静かに卒業パーティーを抜け出して、屋上で空を見上げた。 地上からは色々な声がした。 桃とかの声も聞こえてバカでかい声だなぁと嘲った。 嘲ったら、涙が出た。 桃をじゃなくて、自分を嘲ったんだって気付いた。 強がりで弱い自分。 何も出来ない自分を。 敢えて押し殺したって仕様がないんだから、私は涙を止めなかった。 どれ位時間がたった頃だろうか。 私は少しだけ落ち着いて、ぼんやり空を見上げていて。 ふいに後ろから頭を掴まれた。 ―いや、正しく言えば撫でられたなんだろうけど、イマイチしっくりこない。 「いつも、人の前じゃ泣かないよな。」 そして、人懐っこい声。 「素直じゃないオマエらしくて、良いけど。」 私の横にしゃがんだのは、赤いはねっけの髪と顔にバンソーコが貼ってある人で。 「ッ二先輩?!」 「オマエ泣く時はいっつもここに居るなー。そういうのは人に見せてナンボだろー?」 先輩はとか言って笑った。 「ゃ、な、何でここに来たんですか!?」 恥ずかしくて、びっくりして、焦って涙を拭った。 「あー、こすると赤くなるよ? ―何でって、探しに。」 また笑った。 先輩は笑った。 イタズラっぽく笑った。 そして、言葉をくれた。 「何で?!」 「だからぁ。」 やれやれと繰り返そうとする言葉。 仕草全てが英二先輩だった。 「何で来ちゃうんですか!!バカ!!」 だからそんな笑顔見る位なら、一人で居たかった。 「ばっ…バカってオマエぇ!!」 びっくりした様子で、先輩は叫んだ。 「何で放っておいてくれないんですかぁっ!!痛いのに!!」 見たら溢れてく。 大好きだって気持ちも、言葉も。 判ってた。 だから逃げてきたのに。 「先輩が大好きで、こんなに胸が痛いのに!!」 悲しいなんてとっくに越えたよ。 寂しいなんて大きくなりすぎてもうわかんないよ。 すがりついて貴方に問います。 どうすれば貴方から離れられますか?
NEXT 戻 シリアス調。珍しいなぁ…。 続きますよ!! (2007/04/04)