げ。最低。
まさかのキスシーン。


しかもアイツ。


エスカレーター降りた先のベンチ。
よく目立つ銀髪と、すっぽり腕に入りそうな華奢な女の子。

ついばむように、何度も、何度も。



っあーやめようよ。
モラル考えとけ。


つーか、私の前ではやめとけ。

非情なエスカレーターは、私の気持ちに反してどんどん降りていく。
近づきたくない。
でも逆走なんてして、私の存在に気付かれたくない。



「んっ…ふっ…!!」


信じらんない。
信じらんない信じらんない信じらんない。

よりにもよって目の前で、一番深いキス。



早足になるわたし。

だから横目で何かを見る彼の、意味深な笑みに気付く事は無かった。




070805